好きで悪いか！

憂鬱

もやもやと浮かびそうになったが、どんな顔かは覚えていない

優しそうな人だった気がする

隣に居た男の人はモデルでもやっていそうな格好良さで、小学生くらいの女の子が居た

２人の顔は思い出せるのにぶつかった人は出て来ない

「ぶつかった人は居たけど印象に残ってないな」
「えぇー！　もったいない！　運命の人かも知れないのに！」
「一緒に居た人は覚えてるんだけど」
「一緒に居た人？　どんな人だった！」
「格好良かった」
「キャー！　もしかして！」

騒ぎ続ける梨子に反比例して私の心は冷めていく

恋ってどんな気持ちなんだろ？

占い騒動以来、積極的に恋愛小説や漫画を読んだけど

少女漫画は１８才禁にした方が良いんじゃないかってぐらい過激な性描写が多くて見れなかった

いや、興味本位でマジマジと読んだ

キスとか舌が絡まるって漫画で初めて知ったし

強引な男ばかりでは無く、積極的な女性の話も凄かった

「私もそんな風になるのかな？」
「何が！　何が！」

無言で気になった漫画や小説を差し出す

「この漫画人気あるんだよ！　素敵だよね！」
「梨子知ってたの！」
「うん！　小学校の時から読んでるよ」
「じっじゃあ、きっきっｷｽとかもこれ知ってたの！」
「みっちゃん、知らなかったって方が驚きだよ。もうすぐ高校生だよ！　この情報社会で、箱入り娘だったんだね」
「梨子は知ってた……」

なんかショックだ

私が普通じゃ無かったとは……

「みっちゃん！　もっと凄いのあるよ、見る？」
「もっと凄い！　見たいような、恐いような……」
「赤くなったり青くなったり、みっちゃん可愛い！　大丈夫！　本は襲って来ないから、これも一種の社会勉強よ」
「社会勉強……」

あれよあれよと言う間に色んな知識を教えられる

もうちょっとしたら実際にやるの？

私が？　誰かと？

「無理だよ！　出来ないよ……」
「大丈夫だって、みっちゃん！　これは上級者編で初心者は舌入れないし！　これもこれもまだ先の話だから」
「本当？」
「もう！　みっちゃん可愛い！」

舌って気持ち悪く無いかな？

本の通りで気持ち良いの？

色んな意味で憂鬱な高校生活