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入学式当日
新しい制服に心が踊る
中学の学ランと違いブレザーにネクタイを締める
母さんや親父に教えられキチッと締める事が出来た
「お兄ちゃん、格好良いよ!」
「ありがとうな! 智佳」
抱き付く智佳の頭を撫で心が和む
「馬子にも衣装ね」
「母さん、喧嘩売ってる?」
「気づいた? 買う? 買っちゃう!」
「買わない、行ってきます」
「ちぇ! 行ってらっしゃい」
相変わらずなんつう親だ
「おはよう! ひ~さん! 男前だね~! 惚れ直しちゃう!」
「おはよう、くねくねするな。行くぞ」
「もっと突っ込んでよ! って待ってってば」
親友も相変わらずだ、高校生になっても日常は変わんないもんだな
早目に着いた学校は、自分達と同じ新入生がうろうろしている
教室は受験番号で振り分けられ、俺とカズは同じだった
「あれ? カズ、ネクタイ変じゃね?」
「何度やってもこうなるんだよ、もうしょうがないかと……」
「しょうがなくない、ちょっとこっち向け」
ササッと結び直す、初日から注意されるのは不味いだろ
「サンキュー! あぁ、ひ~さんが女の子だったら!」
「男で悪かったな」
教室に入って来た先生に説明を受け、廊下に整列する
「席は受験番号で決まってるみたいだし離れるな」
「寂しいな……」
「馬鹿言ってないで並ぶぞ」
「俺何番だったっけ?」
「253番」
「そうだった!」
「大丈夫か?」
「分かんない」
「よし、近くの先生にお願いしとくか」
「ひ~さん! 捨てないで!」
馬鹿なやり取りを切り上げ自分の位置に立つ
最前列に座る為、カズがどうしているか後ろを振り返らないと分からない
馬鹿が寝ない事を祈ろう
体育館に入ると親達も後ろの席に座っていて、チラッと俺の母さんとカズの母さんが見えた
おばさん着物か、目立つの好きだしな
スーツの母に安堵しつつ、式が始まった
校長、教頭、先生、そして新入生代表の挨拶
進行の人が呼んだのは女子の名前
「新入生代表『如月 美弥』」
「はい!」
声を聴いて心がざわついた、二度と会えないと考えてた人が
同じ高校だなんて!
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