天使が舞い降りた日…

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胸元まで垂らした栗色の長い髪… 緩くウェーブがかかってて触れたらさぞかし柔かいんだろうな… 額に薄く掛かった前髪の隙間で ゆっくりと瞬く大きな瞳… 長い睫毛に積もる雪が瞬く度キラキラと輝いて… 「…あの……………」 彼女の声に我に返る… ………柔らかくて落ち着いた声のトーン… …凄くイイ… 「あ、あの…」 「な、なに?」 え…? グラリ… 彼女の身体の線がぶれた… ゆっくりと彼女の顔が近づいてくる… 「うわっ…危ないっ!」 俺に向かって真っ直ぐに傾いてくる彼女の身体を抱き止めた… コートの上からでも その体が華奢な事が充分に感じられた… 「おい、大丈夫か?」 肩を揺らし声を掛ければ 「………ンンンン………」 俺の肩の上でくぐもった声を漏らした… 「…気がついた…?」 「…………ンン… ……………しそう…」 「え…?」 クンクンと俺の首に鼻を擦り付ける… 「うわ…ダメだよ…油臭いから…」 バイトの帰りですっかりキッチンの臭いが染み付いてしまっている… 最悪! せっかくならシャワー浴びた後にして欲しかった… 「…イイ…匂い…」 「へ…?」 寝ぼけてるのか…? 「ハンバーグ…ステーキ…大好き…」 …確かに…俺のバイト先ハンバーグレストランだけど… 「…いただきます…」 ん…? いただきます…? カプッ! カプッ? 俺…食われた? .
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