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「何考えてんだかね…」
孤独は寂しい。
それは人間である以上拭いきれない性だ。
過去にどんなことがあろうと、ましてまだ16歳の少年にもそれは同様だった。
一度心を開きかけたらこの様である。
ミサは自分の殊勝さに毒づきながら目を軽く閉じた。
ギターのチューニングはもう終わっている。
サァァーと開いた障子から入ってくる隙間風が彼の前髪を優しく揺らした。
胸一杯に森の香りが溶け込んでいく。
深呼吸を一回二回と繰り返すたびに意識が薄くなるのを感じた。
(コイツは本格的に眠いな…)
それから数分とかかることなく、ミサは眠りについた。
††††††††††††††
「なあ。優奈の母さんってどんな人?」
「……熟女好きなの?」
「似たようなことを前にも言われたな。後その言葉は小学生には早過ぎる。即刻削除しろ」
潟滝太一と常盤優奈は河辺の大きな岩盤に腰掛けていた。
両サイドを流れる小川が落ち込むようにして前方の本流に合流する。
ジャバジャバとまるで滝のようだった。
魚影もたくさんあるし、釣りも結構期待できるなと太一は考えている。
そんな休憩ポイントで2人はおにぎりを食べていた。
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