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「じゃあどうしてそんなこと聞くの?」
「む……」
太一は少しどもった。
素直に常盤沢江が死ぬかもしれないからとは当然言えない。
だが熟女好きだからとも断じて言えない。言うものか断じて。
と心の中で思ったものの、常盤沢江はまるで優奈をそのまま大人にしたような女性だった。
実年齢(三十代くらい)より相当若く見える。
案外自分のストライクゾーンの広さを実感する今日この頃だ。
さて、この場を面白おかしく誤魔化すにはどうすれば良いか?
その答えは一瞬で浮かんだ。
「実はお前の母さんの背後に悪霊がとりついていたんだ」
「ふえぇっ!?ほ、本当に!?」
「ああ。本当に(この子は騙しやすいな…)」
「どんな悪霊!?お、お母さん大丈夫かなぁ!!ああどうしよう!!」
と涙目で訴えてくる少女に若干罪悪感を抱いた太一だった。
さすがに悪霊は言い過ぎたかもしれない。
「あ、安心しろ。悪霊と言っても怖いものじゃない。ほら、お前にとって一番可愛いものを想像してみてくれ」
「か、カンガルー?」
「そうだ。お前の母さんの背後にいるのはカンガルーの悪霊だ」
「何故カンガルーが!?」
「知らん。カンガルーに聞いてくれ」
俺も大概だな…。
そう思いつつも太一は場を和ませることに成功してホッとした。
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