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「うーむ!」それにしてもと優奈は思った。
「何かが足りない気がするぞー」
「そりゃお前の相手をいたわる気持ちだ。断言する」
「分かった、ローションだ!」
「人の話を聞け!んな本格性小学生に求めてねーよ!!」
練習相手から実験台に変わりつつある太一は吠えた。
野外で幼女にマッサージをさせるというのもマズい話だが、それはさすがに洒落にならない。
しかし優奈は一度決めたらとことんと言わんばかりに持ってきていた鞄を探り始めた。
……あるのかローション?
「ジャジャジャジャーン!はーちーみーつー!!」
だみ声とともに鞄から取り出されたのは寸胴なチューブ型のハチミツだった。
うつ伏せのまま太一の顔が大きく歪む。
「冷静になってくれ頼むから。何故そんなもんを持っているかなんて野暮は聞かないがお前は同じ所業を母親にいいぃぃーーっっ!!?」
ドロリとした何かが背中を伝う怖気に太一は声を裏返してのけぞった。
食べ物を粗末にするとかしないとかいう問題じゃない。
何か色々なものが音を立てて崩れてしまったような気がした。
「うむ満足」
「お、お前なぁ~」
下がゴツゴツした岩場だとかそんなの関係なしで優奈を突き飛ばそうとしたその時だ。
彼女は「あ」と小さな声を上げて一目散にどこかへ逃げていってしまった。
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