LIVE5/Voice and cry1/2

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「あー…そういや他にも列車系の歌あったっけ」 「……」 「ドナドナドーナードーナー…なんか違うな」 「……」  思いついたフレーズを好き勝手歌い続ける太一をミサは冷めた目で見つつ嘆息した。  先ほどから彼の頭の中は『どうしてこんな奴を連れて行かなくちゃならないのか?』ということで埋め尽くされている。  そもそも団体行動を極端に拒んできた彼にとって、太一との相席はかなりのストレスになっていた。 「…はぁ」  思わず彼はため息をつく。  もう何度ついたか途中から数えるのをやめたくらいだ。 「おいおいまたため息かよ?あんまりすると幸福が逃げてくぜ?」 「そう思うなら返してくれ。俺の幸福」  と言いつつ、ミサは確かにとも思う。  幸福が逃げて行った瞬間。  それはまさに昨日のことだった。 ††††††††††††††  彼らが電車に揺られる一日前の夜。  ミサはいつかの喫茶店の前でライブの準備に取りかかっていた。  ここでのライブは本日で五回目。  今まで全てのライブが好評で、まだ開店して間もないこの店も『ミュージシャンがいる喫茶店』として街にそれなりに浸透してきたらしい。
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