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「めんご。」
「あぁっ、ちょっとバカにしてるでしょ!?謝る気あんの!?」
簡潔に状況を整理すると、潟滝太一は少女に謝っていた。彼なりの誠心誠意を込めて。
と言うのも、少女曰わく川に遊びに来たら見知らぬ上半身裸の男がいて、避けるだろうと高をくくり突っ切ろうとしたら案の定正面衝突、そして頭頂部にウラガンキンを喰らった……から謝れの一点張りをしてきたからだ。
太一も確かに前方をちゃんと確認しなかったことには非を感じている。
「ぶっちゃけ微妙」
「んなぁっ!!幼気な少女の頭を二度も叩いておいてからにもう!!ぷんぷんですよ、ふんとにもー」
が、彼も彼で良いのを二発頂いていた上相手が年下となれば謝罪がぞんざいになるのは仕方がないことだった。
むしろ、『てか何で一方的に俺が悪いみたいなことになってんの?』と思ってならなかった。
前提からして少女が横に逸れて走ってくれば事故は起きなかったはずだ。
しかし少女の機嫌はすこぶる悪そうだった。
もし腹いせに『この人不審者です』とでも叫ばれれば、地元のPTAに捕まること請け合いだ。
しかも上半身裸……参ったね、どうも。
故に太一は『お前も少しは反省しろよ』と言いあぐみ、素直(彼なり)に下手に回っている。
が、それが逆効果になっているのは言うまでもないだろう。
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