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私は周りのお客さん達に
また頭を下げた。
みんなは口々におめでと~と
言ってくれた…
いつしか
“おめでと~”が
“チュー”コールに
変わっていた…
チュー!チュー!チュー!…
誕生日だよね…
結婚式の二次会じゃないよね…
私は一輝を見た…
一輝は相変わらず
他人事みたいに笑っていた…
「チューしないと
収まらなさそうですよ…」
マスターが一輝に
ボソッと言った…
「…ナナ。
チューしてイイ?」
一輝は
ドキッとする様な顔と声で
言った…
「…しないと‥‥
収まらないんでしょ‥‥」
ある意味
私が収まらないのかも
知れない‥‥
すると一輝は
スッと立ち上がり、
私の腰に手を回し
私を引き寄せ顔を近づけた…
ドキドキする…
心臓が飛び出しそうだ…
あの時と何も変わらない…
「ナナ。おめでと。
…愛してるよ。」
と言うと
ゆっくり唇を重ねた…
私は目を閉じるのが
勿体なくて、目を開いていた…でも…
私の大好きな一輝の唇が
私の唇に触れると
ゆっくり自然に瞼が降りた…
とても優しいキスだった…
ギャラリーの男の人達は
オゥーーーっ!!とか
ヒューーーっ!!とか
フゥーーーっ!!とか
言っていた…
そして女の子の
キャア~~~!!!!!
と言う悲鳴が聞こえた。
一輝は唇を離すと
私を抱きしめた‥‥
私は一輝の胸に顔をうずめた…とてもギャラリーの人達を
見れなかった…
ギャラリーは
またおめでとうコールと
盛大な拍手をしてくれた…
一輝は私を椅子に座らせ
ギャラリーに背中を向け
手だけ上げて
一輝も私の横に座った…
マスターは
私達を微笑ましく見ていた…
「マスター。有り難う。」
一輝は
マスターにお礼を言った…
「…マスターが、これ、
用意してくれたの…?」
私はイチゴの乗ったケーキを
指差した。
「誕生日って聞いて
何もしない訳に
いかないでしょう?
カリスマ・イケメン・マスターですから…」
マスターは、笑った…
「…自分で言うのかよ。」
一輝と私も笑った…
マスターは
“ケーキは
家で二人で食べて下さい。”
とケーキを箱に入れてくれた…
こんなに沢山の人に
見ず知らずの人達にも
祝福されて…
私は本当に幸せ者だ…
何よりも
私の横に一輝がいる事が…
しあわせ…
あの日の私に
教えてあげたい…
“大丈夫。
きっと幸せになれるよ。”
って…
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