7.7

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ギャラリーも 元通り落ち着きを取り戻し お店は いつもの空気になっていた… 「ナナ。帰ろっか。」 一輝は私の椅子の背に 手を置いて私を見た… 私は“うん。”と頷いた。 一輝はマスターに声をかけ 支払いを済ませると マスターは荷物を持って 出入口まで 見送りに来てくれた。 ギャラリーが “お幸せにぃ~!!” と声を掛けてくれた… 私達は頭を下げて店を出た。 「マスター。ありがとな。」 一輝は荷物を受け取った。 「本当に 有り難う御座いました。 今日もまた一つ、 ココでの思い出が 増えました…」 私はマスターに頭を下げた。 「嬉しいです。 お二人の幸せを願ってます。 有り難う御座いました。」 マスターは 丁寧にお辞儀をした… 私達はマスターに別れを告げて店を後にした… 一輝は片手で プレゼント達を持ち、 空いた手で私の手を握った… 私も ケーキを持ってない方の手で 一輝の手をしっかりと握った… 一輝はタクシーを止め 私達はタクシーに乗って 家まで帰った… 私達は タクシーの中でも ずっと手を握っていた… 「ケーキ。食べれる?」 一輝は私の横のケーキを見て 言った。 「今日は無理かも。 明日、食べよう。」 もうお腹いっぱい、胸いっぱいだった… 「運動したら 食べれるんじゃね?」 一輝はまた ドキッとする顔で言った。 「…かもね。」 私は一輝の腕に頭をあずけた。 「一輝。私…幸せ。 世界で一番幸せ。 こんな素敵な誕生日… 初めてだよ…ありがとう。」 「フフフ… ナナは二番目。 一番は俺だ… 俺が世界で一番幸せ。」 一輝は私の頭にキスをした… 「私が一番ですっ!」 「俺が一番だよっ!」 「私ですぅーーっ!!」 「俺だっつってんだろっ!!」 運転手さんが咳払いをした… 私達は小さい声で “怖っ…。” っと言って笑った… そして 我が家に辿り着いた。 家に入ると 私はケーキを冷蔵庫にしまい 一輝はお気に入りの花束を ちょうどいい大きさの水挿しに水を入れて花束を生けた。 一輝は お花の方の“ナナ”を 愛おしそうに眺めていた… 私はそんな一輝を 愛おしく眺めた…
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