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今…何時だろう‥‥
3時くらいかなぁ‥‥
でも時計は見たくなかった。
一輝の言う様に
時間に縛られたくなかった
のかも知れない。
睡眠時間も仕事の事も
気にしたくなかった。
「ナナ。覚えてる?」
一輝は私の頬を
綺麗な指で撫でながら言った
「何を…?」
「ナナが俺に
“私を綺麗にして下さい”
って言ったの。」
「覚えてるよ。」
忘れる訳ないよ…
あれが、
スタート地点なんだから…
「ナナは、今…
綺麗になったと思う…?
俺が綺麗にしたと思う…?」
「綺麗になったかは…
わからない。
でも…一輝が居たから。
一輝のお蔭だと思う。」
「違うよ…
ナナは、ずっと綺麗だった…
俺と出逢う前から
ずっと‥‥
ちゃんと輝いてたんだよ…
王子とアイルは、
それに気付いてただろ?
だから、ちゃんと光ってた‥‥
俺は何もしてないよ…
ナナが俺に光りを
与えたんだよ。
俺を照らす為に…
ナナが
一所懸命、頑張って輝いた…
だから、
俺の世界が明るくなった…
キラキラ輝いた…
ナナの放った光りで‥‥
ナナの輝きで‥‥
俺は何もしてないよ…
全部ナナが俺にくれた‥‥」
一輝は私の涙に
優しくキスをした‥‥
「私も‥
一輝にいっぱい貰ったよ…
人を信じる事…
誰かを守る事…
親友の大切さ…
過去の自分と向き合う事…
今の大切さ…
全てに終わりがある事…
人を愛する事…
いっぱい。いっぱい‥‥
教えて貰った…
一輝も
私をいつも照らしてくれた‥
私の為に
ずっと‥‥
輝いてるよ…
厚い雲や、深い霧も
全部一輝が吹き飛ばして‥‥
私を照らしてくれた‥‥
だから
私の世界も
キラキラ輝いたの‥‥
一輝が私に
全部与えてくれたんだよ‥‥」
私は一輝の頬を優しく撫でた‥
一輝は
その私の手を優しく握り
「ありがとう‥‥ナナ…」
と言った…
私が“ありがとう”だよ‥‥
“ありがとう”じゃ
足りないくらい‥‥
“ありがとう”だよ‥‥
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