外伝①

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~誕生日翌朝~ 理由は明らかだが、 私達は二人して寝不足だった… 一輝はいつもの様に ソファーでシャツを着ながら お茶を飲んでいた… 「あ~…こんな日に限って 車で行けないなんて‥‥」 一輝はボタンを 留めながら言った。 「…?スペアキーないの?」 「‥‥‥!! …あるっ!!あるよっ…!! …ナナ~偉いなぁ~。 イイ子、イイ子してやるっ!」 一輝は私をまるで犬の様に 髪の毛をグシャグシャとし 喉をゴシゴシと撫でた‥‥ 「でも…車。 却って来てるのかな? 瀬名さんに貸して‥ 瀬名さん、美鈴に 会いに行ったのよね… 車、置きに来たと思う?」 「‥‥だな。 ‥‥でも、だとすると アイルは今日、 車で出勤するだろ?」 「そうねぇ。 私、下に見に行こうか?」 私は立ち上がった。 「いいから、座っとけっ!!」 そう言いながら 一輝は携帯で電話をかけた‥‥ 相手は解っている。 瀬名さんだ‥‥ 「俺っ。‥‥‥ああ。‥‥ そう。迎えに来いっ。‥‥‥ ハア~~~っ!!マジかっ! ‥‥とりあえず来い。 待ってる。」 相変わらず…強引だな… 「車、あっちだったんだ。 来てもらうの?」 「ああ。‥ リンリンと一緒に来るって…」 「ハア~~~っ!! 美鈴と一緒~!? 泊まったの~!? 赤飯なのぉ~~~っ!!」 「赤飯なんじゃねぇの? 近頃の若いモンは… 我慢が足りねぇんだよっ!」 私は一輝を ジィーっと見つめた‥‥ 「何?その目は… 俺だって我慢したろっ? かなりしたぞっ! ニコルが どれだけ辛い思いをしたかっ…痛々しかったよ… 俺は可哀想で 見てられなかったぞっ! あ~思い出しただけで涙が…」 一輝は目頭を押さえた‥‥ 「プッ…ハハハハ…」 私は一輝の頭を 撫でてあげた‥‥ 「笑うなっ!! ニコルが噛みつくからなっ!」 私は一輝のシャツのボタンを 留めてあげた。 一輝は顎を上に上げて 大人しくしていた。 「そうだね。ニコルは 我慢してくれたもんね。 我慢出来なかったのは…私よ。…案外、美鈴が 我慢出来なかったんじゃない?頑張り屋さんだから…」 「マジでっ!? 我慢して損した。」 「そんな事ないよ。 嬉しかったよ。 大事にされてる。 って思った…」 一輝は 誉められた子供みたいに 笑った… ホントっ。 可愛いんだから… 私は一輝のシャツのボタンを 全部留め終えた。
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