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私はエレベーターの中の鏡で
全身をチェックしていた。
あ~っ。またグロス取れてる。ん?って事は‥‥
「一輝っ。」
「ん?」
一輝が振り返った。
やっぱり‥‥
私は一輝の唇についた
ピカピカをハンカチで拭いた。
「…あんがと。」
一輝はニコッと笑った。
あ~~っ!!
私達の子供が
男の子だったら…
一輝そっくりの
男の子がイイ~っ!!
溺愛だよ~っ!!
エレベーターを降り
ロビーを出たら
前に車が止まっていた。
何故かその車の前に
瀬名さんと美鈴が立っていた…
「おはよう御座いますっ!」
二人は声を揃えて挨拶をした。
何だか‥組長なみの待遇だな…恥ずかしいよ…
「アイル。黒蜜。」
「えっ?運転しますよ…」
「いいよ。
どうせお前らが
先に降りんだからよ。
お前とリンリンは後ろに乗れ。…ホラっ。黒蜜。」
「スイマセン。
お願いしますっ!!」
瀬名さんは
黒蜜を一輝に渡した。
私達は一輝の指示通り
席についた。
「リンリン。
昨日はナナに可愛いブーケ。
ありがとね。」
一輝はバックミラー越しに
お礼を言った。
「とんでもないです。
でも、凄く喜んで戴いた
みたいで…桜井さんに。」
「そうなの。
一輝が凄く気に入っちゃって。あの星形の花。
名前なんて言うの?」
「私も知らないんです。
お花屋さんで
姉さんみたいって…
一目惚れしたんで…
私も知らなかったんです。
今度名前聞いておきますね。」
「いいよ。リンリン。
名前は俺がつけたから。」
「えっ‥‥?」
美鈴はキョトンとした。
言うのか‥‥?
言っちゃうのか…?
「姉さんの名前。
“ナナ”。
そのまんまだろ?」
そのまんまって…
瀬名さん…
言うね~。
チャレンジャーだね~。
私は、一輝の殺気を感じた…
一輝はミラー越しに
瀬名さんを睨んだ‥‥
怖っ…!!!
瀬名さんは、
やっと気が付いた様だ‥
「…兄貴っ。
…じょ、冗談っす。
…姉さんにピッタリですから
…“ナナ”。
良い名前っすねぇ。
なぁ?美鈴。」
美鈴は急に振られ
首を縦に振った…
「テメエ~っ!!
お前が、ナナって
呼び捨てにすんなっ!!
百万年、早いんだよっ!!」
「だって。花の名前…
兄貴が…ナナって…」
「だからっ!!
ナナって言うなっ!!
ゼッテェ言うなっ!!
バカっ!!」
私と美鈴は
顔を見合わせ二人で笑った…
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