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「龍斗!帰ろっ!」
「おう」
部活が終わり、葉月と龍斗は部室の前で落ち合った。
「最近変な夢見るんだあー」
「夢えー?」
「そう。どんな夢だかはよく覚えてないんだけど……」
「そういや俺も最近変な夢見るな」
「え、マジで?」
「マジ」
「どんな夢?」
「覚えとらん」
「なあーんだあー」
「何だとはなんだ」
と、何時ものように他愛のない話をしながら通学路を歩いていた。
「あっごめんっ!今日ちょっと寄る所あるんだっ!」
「えっ」
「マジごめーん!」
そう言って葉月は龍斗を置いて走り去ってしまった。
「お、おい!……ったく。なんだってんだあ?」
「えーとコンビニコンビニっ」
320円でございま~す。
ありがとうございましたあー
「あー待ってるかなあー」
袋の中には牛乳とツナ缶が入っていた。
走り続けていると、人影の無い空き地に出た。
「こころー?ご飯持って来たよー。こころー」
にゃー
しばらくすると草むらから一匹の子猫が出てきた。
白と薄茶の綺麗な猫だった。
「あ、いたいた。お腹空いたでしょ。はい」
にゃー
こころと呼ばれた子猫は一鳴きするとツナ缶と牛乳を交互に口に入れていった。
「あはは!美味しい?」
にゃー!
こころは嬉しそうに鳴いた。
ジャリ……
「!」
「よう!」
「りゅ、龍斗!」
後ろに居たのは龍斗だった。
「どーも様子がおかしいと思ったら……。子猫かあ」
「あちゃー。見つかっちゃった。可愛いでしょ」
ほー と言いながら龍斗はこころの喉を撫でた。
その後、30分程二人はそこで話していた。
「そろそろ帰るか」
「うん。ばいばい、こころ」
にゃー……
そこにはポツンと立ちずさむこころ以外誰も居なくなった。
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