第弐訓:影

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「“こころ”って葉月がつけたのか?」 空き地から離れ、葉月は再び龍斗と通学路を歩いた。 「え、そうだよ?」 「ふーん」 「良い名前でしょ」 「ネーミングセンスゼロ」 「なぬ!こんのお!」 葉月は殴るように拳を上げた。 「あはは!冗談冗談」 「ったく」 「にしてもどうすんだ?あの猫」 「うーん……」 「飼うなら早いとこ連れて帰ってやんないと……」 「分かってる……」 「……」 「じゃあな」 「うん。また明日ねえ!」 葉月と龍斗はお互いの家の玄関で挨拶し、家の中に入った。 ガチャン…… 「ただいまあー。……って言ってもだれも居ないけどねえ……」 葉月はリビングの電気を付け、テレビの電源を入れ、冷蔵庫を開けた。 「そろそろ買い物しないとまずいかな?」 葉月は手提げバックと財布を持って商店街へ出かけた。(結構エコなどに力を入れてたりする。) 「えーと……魚に肉に……っと……」 手提げバックはすぐにいっぱいになった。 「こんなもんかな。帰ろっと」 必要なものを一通り買い終えると、家の方へ歩き出す。 すると、後ろの方から人を避けながら走ってくる男が一人。 ドンッ! 「わっ!」 その男は葉月に思いっきりタックルをして財布が入ったバックを引ったくっていった。 買った物は周りに散らばる。 「な!引ったくりぃぃぃ!誰かそいつ捕まえてえ!」 葉月は思いっきり叫んだ。 すると男よりも前の方に、銀髪の青年が出てきた。 年はだいたい葉月と同じ位。 「退けぇぇ!」 引ったくりはその銀髪の青年へもタックルをしようとした。……が、銀髪の青年はそれをかわして引ったくりに足をかけた。 引ったくりは勢い良く転がり、周りの人が呼んでくれたおまわりさんに捕縛され、連行された。 .
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