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「大丈夫ですか?」
銀髪の青年が、未だ尻餅を着いている葉月に手を差し伸べた。
「あ!はい!ありがとうございました!」
葉月は差し出された手を取りお辞儀した。
「困っている女性を見かけたら、ほおっては行けない質ですから」
「は、はあ……」
二人は散らばった荷物を集める。
「ここで出会えたのも何かの縁。お名前を聞かせてもらっても良いですか?」
「えっ……」
銀髪の青年の突然の申し出に葉月は一瞬戸惑った。
「じゃああなたの名前を教えてくれたら良いですよ?」
銀髪の青年は一瞬きょとんとした後、何かを思い出したように言った。
「名前を訪ねる時は自分から、と言う事ですね。僕はエル・朱雀と申します」
「エル……朱雀……?」
「はい。アメリカと日本のハーフなんです」
「へえ……。あ、私は櫻井 葉月です」
「葉月さんと言うのですか。どうです?これからお茶でも」
エルは自分の集めた荷物を葉月に渡しながら言った。
「はあ?あ、えと……今日はもう遅いのでまた今度の機会に……」
「そうですか。それは残念」
「すみません」
「いえいえ。時間を考えずに誘った僕の失態です」
それから葉月はエルと言う青年と別れ、家に向かった。
「ふふふ。ビンゴ。ついに見つけましたよ。櫻井葉月さん」
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