プロローグ

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ねえ、補欠。 あたし、ずっと見つめてるから。 青空よりも、澄んでいて。 海風よりも、強くって。 夏の雨みたいに、泣き虫で。 粉雪みたいに、優しくて。 それで、ひまわりみたいにまっすぐで…。 あたし、恋をしたよ。 あたし、青空の下の少年に 死にものぐるいの、 恋をした。 ねえ、補欠。 あたしね。 ずっと、ずーっと、見つめてるから。 ********** おれの前世はブルペンの横に咲いている、あの1番背伸びしている向日葵だったんだと思う。 それで、翠の前世はあの元気な太陽だったんじゃないかな。 向日葵ってさ、どんなに頑張っても太陽には手が届かないんだよ。 だから、神様はおれにチャンスをくれたんだと思う。 朝から晩まで太陽を追い駆けているおれが気の毒で。 それで、おれはこうして人間になれたんだと思う。 だから、この一球だけは絶対に無駄にはできない。 翠、おれと一緒に甲子園に行こう。
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