☆最悪かつ最高なアイツ

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 カランカラン、というブリキのベルにお出迎えされて、わたしは勢い良く店内に入った。 「薫叔父さんやったよ!」  カウンターから中に身を乗り出しながら親指を突き出す。 「こらこら。他のお客様がびっくりするだろうが」  困り顔をしながら頭を軽く小突かれてしまったけれど、 「ま、おめでとさん。これでサチ坊もウチの店の一員だな」  その拳はすぐに開かれてわたしの頭をぽんぽん、と叩いた。  がっしりとした身体と万年無精髭の薫叔父さんは、見た目とは裏腹にとってもやさしい。  目尻にシワを刻んで微笑む表情がうちのお父さんと良く似てて、あぁやっぱり兄弟なんだなぁと思う。  お父さんはもっとスマートだけどね。 「サチ坊はやめてよね。わたしもう高校生なんだから」 「はっはっはっ。そりゃすまんすまん」  悪びれず豪快に笑う叔父さんに頬を膨らませていると、 「はぁ、はぁ、はぁ……紗智ちゃん速すぎるよぅ……」  遅れて八重ちゃんが店にやってきた。 「ご、ごめん八重ちゃん!」  慌ててグラスに水を注いで手渡す。  あわわ。  興奮し過ぎて置いてきぼりにしちゃったよ。
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