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「お~い、紗智~。朝だぞ~。起きてるか~。起きろ~。起こすぞ~。忍び込むぞ~」
「毎度毎度朝っぱらから近所迷惑考えなさいよ! このバカ亮平!!」
勢いよく窓を開けたわたしの目の前には、同じように窓を開けて憎たらしい表情をした幼なじみ。
寝癖で髪の毛が四方に跳ねてるわ、だらしなくパジャマの前ははだけてるわ。
みっともないとはこのこと。
「おはようさん」
「おはようさん──じゃないわよ! いい加減やめてよね、恥ずかしい」
「つれないなぁ~。ガキの頃からの付き合いじゃないか」
わかった?
コイツが毎朝こうやって起こすものだから、乙女としては最低限の身だしなみを整えておかなくちゃいけないってわけ。
まったく。
ちっちゃい頃はまだよかったけど、わたしたちももう高校生だっていうのに。
無視すればいいって?
前に1回したわよ。
そうしたらコイツ、どうしたと思う?
お互いの家が隣接してるのをいいことに屋根をつたって直接部屋の窓を叩き始めたのよ!
鍵閉めてたからよかったものの、万が一閉め忘れでもしてたら……。
「どした? 難しい顔して」
しかめっ面になってたのか、身を乗り出してこちらをうかがう亮平。
「……なんでもないわよ」
どうせ何をいっても止めたりなんてしてくれないのだから、いうだけ無駄よね。
深くため息をつくわたし。
すると亮平はふと何かを思い付いたらしく、
「わかった!」
と、手をぽんっ、と打った。
「は?」
何を勘違いしたのかと思った次の瞬間、コイツが口にしたのは──
「“アノ日”か!」
「こぉんの、ドスケベェェェぇぇぇぇぇ!!」
「へ? あぎゃばるぅべっ!」
わたしの朝はだいたいいつもこんな感じ。
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