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みっともないうめき声を上げて爽快気分へ盛大に水をかけたのは他でもない。
「亮平うるさい」
「ちめたいですよ紗智たん」
変にクネクネするな、気持ち悪い。
「いいからさっさと歩きなさいよ。遅刻するわよ」
「おんぶして~」
「おんぶというのは右の拳かしら? それとも左の拳? おすすめは右足のかかとだけど?」
「なんでもないです……」
はぁ……。
なんでまた3年間コイツと同じ学校にいかなきゃなんないのかしら。
頭が痛いのはこっちの方だといってやりたい。
そんな(非常に腹立たしいことに)いつも通りの会話をしていると、
「おはよ~紗智ちゃ~ん」
前から声が降りてきた。
「あ、おはよ~八重(やえ)ちゃん」
「お。やえっちぅはよ~」
「おはよ、亮平くん」
八重ちゃんもまたわたしたちとは幼なじみ。
真っ直ぐな黒髪とメガネがトレードマークの女の子。
亮平ほど家は近くないけれど幼稚園の頃からの付き合い。
「今日も仲がいいね~」
ちょっと間延びした口調の彼女は朝陽に負けないくらいの笑顔でそういう。
「出来れば近い内に縁を切りたいけどね」
「なんだとぅ! 毎朝起こしてやってるのは誰だと──」
「頼んだ覚えなんてないわよ! そもそも朝から近所迷惑なのよ!!」
「なにぃ?」
「なによ!」
「まぁまぁふたりとも……」
お決まりなやりとり。
さて。
今日が本格的にスタートだ。
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