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「最後に一つだけ、いいかな」
僕は静かに口を開く。
彼女は何も答えなかった。
代わりに少しだけ手を後ろに動かす。普通なら見逃してしまうような彼女の癖。無言の肯定を得て僕は、今までずっと言えなかった想いを言葉に乗せる。
「好きだったよ」
添えられたのは、手向けの徒花(あではな)。一意専心の切っ先を彼女へと向け、僕は――。
「え? 私は君のこと大嫌いだったよ。なんか顔がインフォルエンザの菌みたいで気持ち悪いし」
…………。
……バグが発生してしまった。
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