～失意の彼方に～

lost 1

　ぴちゃっ・・・・・・ぴちゃ・・
泣き声？うん。泣き声だ。声を押し殺してはいるものの確かに泣き声だ。どうして泣いてるんだろ？
「どうして・・・・・・？どうして俺ばっかり・・？」

桜咲き乱れるこの良き日に我々１３０期生は入学いたします。パチパチパチ。新入生代表の挨拶も終わり、校長先生の長い話も終わり、クラス発表、担任紹介へと移っていく。今日から晴れての高校1年生な訳だが何故か浮かばない顔をしている子がいる。その子はただため息をつくままだった。

ここは最刃芽高校(さいじんがこうこう)。一昨年改築したが、都内に立地する伝統のある由緒正しき高校だ。