第一章

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「お前、抜け出すとか恐ろしい事言うなよ。」 「何だ、前に抜け出した事があるのか?」 そう聞くとハリーは苦い顔で答えた。 「あぁ………一回無断で抜け出したんだが、何故かバレてな。半月の減給だよ。」 ハリーが深い溜め息をついた。 「分かった分かった、隊長には俺から伝えておくよ。安心して行け。」 「本当か?」 俺がそう言うとハリーが希望の眼差しで見てきた。 「本当だ。俺が伝えるから早く着替えて行け。」 「おっさん。……あんた良い奴だな。」 ハリーはそう言って俺の前から去った。 取りあえずローズと約束しているので早くシャワールームへと目指した。 「早く次の店に行くわよ。」 ローズが嬉しそうに言うが俺は憂鬱な気分だった。 「何人のワシントンが飛んだ事やら。」 「買っちゃった物はしょうがないじゃない。」 「じゃあ一つ聞くぞ。」 「何?」 「さっき何買った?」 「パンツ。」 「値段は?」 「800ドル。」 「高いだろ!」 「仕方ないじゃない。ブランド物だし。」 「俺の奴は三枚入りで250ドルだぞ。」 持っている紙袋を見て溜め息をついてしまった
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