憂鬱な懇談会

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担任の挨拶があり、レジュメに沿った内容が進むにつれ、佐枝子はドキドキしていた。 もうすぐ終わり…。 「では、簡単な自己紹介を安藤さん…。」 向かって右側の一番前の席の母親が立ち上がった。 「安藤悟の母です! 5年1組に姉がおります…。 一年間、どうぞ、よろしくお願いします!」 皆が拍手する。 あと5人で回ってきちゃう~! 三年生ともなると、半分は空席になる…。 役員決めが有るから、授業参観で、資料もらって帰っちゃったんだわ~! 私もそうしたかったけど…先生からのこれからの説明も聞きたかったし…。 上の子どもと、何でも初めてだから、資料に書いてない説明も一杯あるし…。 いつの間にか、佐枝子の資料には、先生からの口頭での説明がぎっしり書かれていた。 佐枝子の番だ! 「日野佐枝子です…」 思わず自分の名前を名乗ってしまい、頭の中がパニックに! 「あ、日野祥也の母です! い…妹は、そうか幼稚園の年長です!」 真っ赤になって、佐枝子は座った。 隣の女の子のママさんが、小声で話しかけてきた! 「うちも下の子ひまわり組です!」 「うちは、すみれ組です!」 「よろしくお願いします♪」 佐枝子は嬉しくなって、微笑みながら、 「こちらこそ♪」 と答えていた! 斜め向かいにも、そうか幼稚園の制服を着た女の子が、母親の隣で折り紙を大人しくおっている…。 その母親も目が合うなりにっこり微笑みながら、会釈してくれた。
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