憂鬱な懇談会

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紹介が終わったら、斜め後ろから、凛とした声が響いた。 「では、今年度役員を決めさせて頂きます!」 昨年度の学級委員のママさんだ! 担任の先生が後ろの席に下がり、彼女たちが前に出て来る。 彼女たちは、黒板に役員名を書き出してゆく…。 綺麗な字だなぁ~ 私もこんなに綺麗に字が書けたら良かったのに… 学校の先生みたいに きっちり書かれた文字に佐枝子が見とれていたら、 隣のママさんが、聞いてきた。 「日野さんは、何かやるの?」 「まだやった事無いけど、何が良いのかわからなくて… それに、役員とかとても向かないので。」 「私も! 他の上級生ママさんによると、学級委員は、あの方達みたいに、司会するから嫌がる人が多いのよね~」 「でも、5、6年生でやるより、今やっちゃった方が楽よ!」 佐枝子の左隣のママが口をはさむ。 「上級生ほど決まらないから、今のうち、やっちゃった方が、仕事も楽だし、仮に1pt今年やっても、クラスにまだ役員やって無い人がいると、何年も弾かれて、六年生でやっと役員やれるんだって!」 「まぁ~そうなの!」 「六年生の学級委員の巣立ちの会は、大変だって聞いたわ~!」 「役員は皆大変だと聞くけど、成人が良いって聞いたわ!」 「成人?」 「成人教育委員会っていう、ほら、ヨガ教室とか、お料理教室とかって、去年あったじゃない! 三役にならなければ、下の子いてもやりやすいって!」 「あ~! そういえば…」 佐枝子は、小学校のPTA向けに変わった講座が有ると、思いながら、仲良しのママに誘われて、アロマ石鹸講座や、給食試食会に参加した事を思い出した。 「成人、一緒にやりません?」 「ええ!」 佐枝子は、隣のママとうなずきあった。
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