非日常

4/13
414人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
看護婦同行のもと、泰子と大河は3日ぶりに竜児と対面を果たした。 「竜ちゃん?泰子だよ」 酸素マスクはしていないが、頭に巻かれた包帯や腕についているチューブが痛々しい。 最初視線はおぼろげにふらつき、ついで泰子を捉える。 そして、ドラマのようなセリフ。 「あの…あなたは?」 「泰子だよ。お母さんだよ」 「すいませんが…初対面の人にお母さんと言われても…」 竜児の口から発せられる信じられない言葉。 「やっちゃんだよ…やっちゃんだよ」 涙を流しながら、やっちゃんだよ…と繰り返す。 そんな姿を見て、大河は何もしゃべれない。見ていて悲しい。 「お母さん…あまり刺激を与えないづください」 看護婦に諫められ、一緒に病室を出て行く。 残されたのは、竜児と大河だけになった。 「あの…あなたは?」 「………!」 答えられない。受け入れたくない。 竜児が私を知らないなんて、受け入れたくない。 そんな大河が出した答えは、 「私…逢坂大河って言うの。よろしく」 「逢坂さんですか…よろしく」
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!