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「そういや、明日川嶋の家行かなくちゃいけないから、ちょっと晩飯遅れる」
「………」
「無視すんな!」
「…うるさいなぁ。テレビ見てるんだから、静かにしてくんない」
「なっ…」
ここにきて竜児は、さすがにイラついてきた。理由も言わずに不機嫌になって、理由を聞くと、「別に怒ってなんかない」と言う。
高2の時にそんなことがあったが、今またその状態だ。
それでも竜児は尋ねずにいられなかった。
「なぁ、何で怒ってんだよ?」
「怒ってないし」
ぶっきらぼうに言い放つ大河。
何だそれは。完全に不機嫌じゃないか。
また前みたいにグチグチヴダウダなるのが嫌で、竜児は黙った。
「………」
「………」
気まずい沈黙が流れ、竜児は無意識に、落ち着きなくちゃぶ台をピカピカに磨きあげる。
何気なくカレンダーを見て、明日の日付のところにハートマークを見つける。
そうか。明日は記念日だ。
竜児の中のわだかまりは解け、大河がなぜ怒っているのか、こうも不機嫌なのかを悟った。
明日自分は川嶋の家に行く。記念日なのに。
大河はそれが許せないのだろう、と。
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