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人里離れた郊外、小高い丘にやって来た。
「着いたぞ」
「ここ?」
スクーターから降り、竜児の手を握ってついていく。
「ここら辺でいいかな」
よっこらしょ、と竜児が地べたに座り、大河も横に座る。
「大河。星、見ろよ」
ゴロンと竜児が寝転び、大河も竜児にならう。
「うわぁ!!」
夜空には、見たことない満点の星空。
「オリオン座…。覚えてるか?北村がグレた時、見たの」
「うん。あと、あれが北斗七星だよね」
目を輝かせる大河の瞳には、数えきれない星が映る。
「あの時の星…こんなに綺麗じゃなかった」
「ここら辺は街灯がないからな」
寝転んだまま、星空を見つめる。
本当は明日来たかったのだが、こらえきれずに来てしまった。
そして、ポケットにしまった箱をそっと取り出す。
「大河」
「なに?」
体を起こし、大河の方を向く竜児。
大河も体を起こし、真横の竜児を見つめた。
「本当は明日来たかったんだ。でも、我慢できなかった」
真剣な眼差しは、大河を捉えて離さなかった。
大河も魔法をかけられたように、竜児から目が離せなかった。
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