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自分を殺して、高須竜児の恋人の逢坂大河を殺して、 記憶を無くした高須竜児の友達になることだった。
「僕…名前忘れちゃって。逢坂さんは、知ってます?」
「あなたは…」
名前を教えなければいけない。竜児が竜児であるためには、高須竜児を名乗る必要がある。
「………私は…知らないの…」
言えなかった。
涙をこらえ、嗚咽が漏れ、それでも泣かまいと拳を握り締める。
「私…用事あるから…」
「そうですか。さようなら、逢坂さん」
「………さようなら」
背を向け、病室を出た大河は、こらえきれずに涙を流した。
翌日、北村と実乃梨と亜美に連絡し、4人でもう一度竜児の元を尋ねた。
「高須君!実乃梨だよ!」
「実乃梨さん…?可愛い人ですね」
まずは実乃梨が竜児に話しかけるが、全く覚えていなかった。
「高須!俺だ、北村だ!」
「北村さんですか。どうも」
北村もダメだった。
じゃ、ばかちー頼むね。と大河が亜美の背を押したが、なぜか顔色が悪く竜児を見ようとしない。
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