いつも通り

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「お前は何すんだよ」 「場所考えたりとか、そういうの」 店員が持ってきたコーヒーを一口飲んで、能登はこのファミレスか、もしくは某アミューズメントパークにするか、とか。 黙って聞いていた大河が、おもむろに口を開いたのはその時だった。 「…竜児の手料理で家で盛り上がるのは?」 「はぁ!?お前、何言って…」 「あ、それありかも!」 竜児が否定しようとしたが、能登が「タイガーナイス!」とか言って乗り気になってしまった。 「あのなぁ、だいたいそんな大人数が入れる家なんて…」 「ばかちーがいるじゃん」 「げっ!」 ばかちーこと川嶋亜美は、ついにテレビ進出を果たした。 大学には行かず、アイドル兼女優として本格的に頑張っているのだ。 負け犬検察官夕月令子の娘は、親譲りの演技力で話題になった。なるほど、カエルの子はカエル。そう納得させるほど、亜美は演技力があった。 竜児の目つきだけなら、カエルの子はカエルだと言わせられる。目つきだけなら、の話しだが。 「そんじゃ、一応亜美たんに許可とっといて。できれば今日中に」 そう言い残して、「やべ時間!」と能登は去っていった。
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