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「ったく。お前が余分なこと言うから」
「うっさいわね。別にいいじゃない」
冷め始めたホットコーヒーを飲み干し、腕時計で時間を確認する。
「おう!大河、時間ちょうどだ。さっさと行くぞ」
「あっ、待って」
立ち上がろうとして、ドジタイガーはカップを倒す。
幸いにも服にはつかなかったが、底に残っていたコーヒーが机に。
「あーあー」と言いつつ、ティッシュを取り出し零れたコーヒーを拭き取る。
「はぁ。ん、これでよし」
カップも戻し、机の上は元通りになった。
もう一度時計を見て、ほら行くぞ。と、尻をカバンで叩く。
触るな痴漢。と罵られるが、無視して歩き始める。
既に竜児の頭の中には、明後日の献立が浮かんでいる。
パーティーなのだから、やはり和食よりは洋食だろう。グラタンを作り、スープを作り、あれとこれとそれと…。
「どこいくのよバカ犬」
フッ、と現実に引き戻された。目の前には目的地のキャンパス。
「あんたまた何かいやらしく妄想してたの?」
「妄想じゃねえ」
じゃないよね…。ちょっと不安になったが、自分に言い聞かせるように心の中で確認した。
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