わがまま1

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「姫、これで満足か?」 スコアは10対0。 圧勝だ。誰がどう見ても面白くないくらいの圧勝だ。 我が校の球技大会野球種目は、10点差をつければその時点で勝利となる。 観客はやたらと盛り上がっているが、試合に臨んでいる俺と相手チームのテンションは地の底まで落ち込んでいる。 当たり前だ。 「ふむ、多少満足した。一人でよくぞ勝ってみせたな」 そうだ。 俺は一人でやっている。 勝利を共に喜ぶ相手などいない。 そして敵としてはたった一人に馬鹿みたいにホームランを打たれ続けるものだから、不機嫌極まりない。 「しかし、一回の表で全勝しては、さすがにつまらんな」 「それ以外俺に勝ち目があるとでも?一人だからってハンデとして先攻もらわねーと勝てるわけないだろ」 「それもそうだが……。やはりつまらんな」 不満のようだ。 どうしたらこいつは満足するんだろうな。 完全勝利しか許さんとか言ってたくせに、完全勝利してみせたらこれか。 「…………おぉ、私に良い考えがあるぞ、結斗」 直後、悪魔の提案が出された。
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