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「姫、これで満足か?」
スコアは10対0。
圧勝だ。誰がどう見ても面白くないくらいの圧勝だ。
我が校の球技大会野球種目は、10点差をつければその時点で勝利となる。
観客はやたらと盛り上がっているが、試合に臨んでいる俺と相手チームのテンションは地の底まで落ち込んでいる。
当たり前だ。
「ふむ、多少満足した。一人でよくぞ勝ってみせたな」
そうだ。
俺は一人でやっている。
勝利を共に喜ぶ相手などいない。
そして敵としてはたった一人に馬鹿みたいにホームランを打たれ続けるものだから、不機嫌極まりない。
「しかし、一回の表で全勝しては、さすがにつまらんな」
「それ以外俺に勝ち目があるとでも?一人だからってハンデとして先攻もらわねーと勝てるわけないだろ」
「それもそうだが……。やはりつまらんな」
不満のようだ。
どうしたらこいつは満足するんだろうな。
完全勝利しか許さんとか言ってたくせに、完全勝利してみせたらこれか。
「…………おぉ、私に良い考えがあるぞ、結斗」
直後、悪魔の提案が出された。
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