七方美人

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ええかっこしいなのもイイトコだ。 「柏倉さん、おはよう」 関わらない。 というより、『関わりたくない』のに。 嫌がらせのように、毎朝駅で会う。 乗換駅ではないし、各駅停車の電車しか停まらない駅だから、この人も最寄り駅なのだろう。 「…………ども」 適当に挨拶を返す。 さすがに、無視は酷いと、人としてどうなのと思った結果だ。 未だに、この副会長の名前を知らない。 知るつもりもない。 千晶だって、名前を呼んだりしないから。 ……向こうが私の名前を知っているのは、癪に障らなくもないけど。 「今日は涼しいらしいね」 「……………」 副会長は、当たり前のように同じ車両に乗って、決まって天気の話を振る。 私が答えないの、もう解りきってるくせに。 嫌なやつ。 「やっと秋到来だ。まだ、残暑厳しいけど」 ───そう、やっと秋が来る。 かれこれ、半年間もこんな朝を迎えてる。 人気者のくせに。 この副会長、私への絡みは欠かさない。 何で………って、嫌味以外考えられない。 .
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