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その日、千晶との下校中。
「さようなら。気をつけて帰ってください」
校門に生徒会の役員がズラリと並んでいた。
きゃーぎゃー、騒がしいと思ったら。
「副会長様がいる!」
「は、あぁ。副会長ね」
役職名に敬称付けるのって、アリなの?
というか、会長より先に目立ってどうする副会長。
見たこともない生徒会長に、味方する。
「タマちゃん!挨拶して行こう!」
嫌、という瞬間も与えられなかった。
満面の笑顔で、底知れない怪力で、残念ながら平均体重を上回る私の体を引っ張った。
「さようなら!!」
市場に在りそうな、粋の良い声。
その場の注目を、一瞬にして集めた。
「さようなら。気をつけて」
副会長と思われる男は、ニコリと薄っぺらな笑顔で言う。
ゾワリと、鳥肌が立った。
「貴女も、気をつけて」
その笑顔が、私にも向けられて。
「………」
シカトした。
何と無く。
関わらない方がいいと、女のか野生のか解らない勘で、そう思った。
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