第三眠

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「このように高血圧は低血圧をも凌ぎます。以上で会議を終わります」 「おおっ!さすが矢崎さん。これで解決っすね」 「お見事です矢崎さん」 「うん、なかなか良いサンプルがとれたよ」 「勝手に締め括ってんじゃねえよ!! てか副艦長までなに言ってんの!? ちゃっかり俺をサンプリングしないで下さいっ!」 「はいはい、おふざけはこれくらいにして会議を再開しますよ。副艦長、これが例のサンプルです」 矢崎は副艦長に書類と共に、データが入ったディスクを渡す。 それを受け取った副艦長は満足げに書類をめくった。 あるれぇ? なんでお前は副艦長の言うことは聞いちゃうのさ。 俺の命令は半分も聞かないくせに。 ねえねえ、この艦のトップは俺だよ? 副艦長はNo.2、歳は俺より上だけど俺の方が偉いんだよ? 「諸君、今矢崎君から受け取ったサンプルは、低血圧スキル保持者の個々による生態を調査したものだ」 「特定多数の者を監視したデータですね。既にそんな段階まで計画を進めるとは、さすが矢崎さんです」 「うん。いつまでも似た調査ばかりしてられないからね。調査ってのは的を射てないと意味がない。内藤君、それに気付いた君はどこかの偉そうにしてるおっさんよりもよっぽど優秀だよ」 よし、決めた。 俺、この作戦が無事に終わったら艦長を辞職しよう。
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