第三眠

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それぞれが席に着くと会議が始まる。 メンバーは私、副艦長、鈴木と内藤。 矢崎はまだ姿を見せていない。 「鈴木、矢崎はどうした」 「ここへ来るように言ったんすけどねー。矢崎さんって方向音痴みたいで、また迷ってんすかね? この艦は結構広いからなー」 ちなみに矢崎は以前戦場で指揮官を勤めていたこともあり、地形を考慮し戦を有利に導くことに優れていた。 方向音痴なんて嘘だ。 「もういい。それでは始めるぞ。副艦長、頼む」 「ああ、では出力するぞ」 中央に設置された球体のモニターに光が走ると、それは地上の様子を映し出した。 一人の学生をメインに映した映像。 それは先程"慎吾"と呼ばれていた住民だ。 「諸君、これを見たまえ。これからも解るように、低血圧が発動した時の奴らの戦闘力は格段に跳ね上がる」 「うわー、醜いですね。まだ寝たりないんですかこいつは」 「足りる足りないの問題ではないのだよ。どんな超時間の睡眠であれ、目覚めた瞬間にこのスキルが発動するのだからな」 そう付け足すのは副艦長。 それだ。 まさにそれが厄介なところなのだ。 奴らに満足な睡眠を与えれば済む話であるなら、対策はいくらでもとれる。 しかし如何なる場合の寝起き時でも発動するとなれば、対策も限られてしまうのだ。
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