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俺は電話を切って、
莉子の所に向かおうとした。
千春とすれ違う瞬間に、
千春の肩にポンと手を置くと、
少し震えてるようだった。
「千春……」
『震えてないか?』
と聞こうとしたんだが、
当たり前過ぎるというか……
デリカシーがないように思ったから言わないで
リビングを出ようとした。
「新志………」
独り言のように
ぽつりと千春が呟いた。
「………なに?」
「………アタシ、頑張った」
「…………。
…おう、わかってるよ。
…お疲れ様…ありがとう……」
「…………
…アタシね、莉子ちゃんの為に
身代わりになった気でいたの」
「あってんじゃないのか?」
「違う!!!」
俺が言葉を言い切った瞬間
千春が大声をあげた。
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