プロローグ

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何の変哲もない朝のはずだった。 決まった時間に起きて、決まった時間に家を出る。 そんな退屈な毎日のうちの1日の始まり。 でも、その日は違った。 鳴り響く携帯の着信音に、私は目覚め、反射的に目覚ましかと思って切った。 しかし、間を置かずに再び携帯が鳴り出す。 そこでようやく目覚ましではないと気付いた。 『もしもし!?宵なの?』 寝起きの頭に、甲高い声が響いた。 「……うん…」 朦朧としながら返事をする。 『旭よ。寝起きだろうけど、ちゃんと目、覚まして聞いてね。叔母さんが亡くなったわ』 それを聞いて、一気に目が覚めた。 「……やっと?」 そう、やっと。 これは亡くなった人に対して不謹慎な言葉なのかもしれない。 でも私達姉妹にとって、一番しっくりくる言葉がこれだった。
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