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そっと目を開けるとトラックが目の前の塀に思いっきり突っ込んでいた
そして周囲を見渡すと一本のボロボロになった桜の木があった
木の太い枝が僕の前の方に伸びていて、木にぶつかってきたトラックの向きを変えて僕を守ったのだった
するとその桜の木から懐かしい母の声が聞こえた
「私は命よりもあなたが大切なんだよ、言ったよね?」
「うん、ありがとう、お母さん今からお墓行くから」
「待ってるよ」
するとその桜の木は力つきたように倒れた
僕は倒れた桜の木を撫でるとお墓に行くため、駅に向かって走り出した
僕は胸に手をあてて走りながらお墓で何を話そうか考える
「お母さんいつもありがとう
ちゃんとお母さんはここにもいるし、桜にもいるから寂しくないよ
お母さんが行っていた高校でお母さん以上に楽しんでみせるよ
だからこれからやさしく見守っててね」
そう呟くと僕は微笑みながら天を仰いだ
空からは桜の花びらがひらひらと舞い落ちていた
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