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ファントムソードとセイレーン。
それらは彼等の属する少数精鋭の特殊部隊、ゴーストでの通り名であり、二人にはそれぞれ、神崎刹那とリサ・アルカノという名前がある。
リサは刹那に苦笑を返してマイクのボリュームを絞った。
「私と一緒じゃ不満なのかと思った」
刹那は苦笑い。
「まぁ、公私混同は笑われるからな……けど心配事が増える事には違いないさ。クルーが間抜けじゃないことを祈ってる」
彼は今、この艦に搭載された人型機動兵器、アサルトガンナー「アンジェラ」のコクピットにいる。
アンジェラは彼らの属する特務部隊ゴースト専用の機体だ。
身長は12m程。
多様な任務に対応するために様々なオプション装備が用意されている。
今回はHi-Actと呼ばれる宇宙空間用の高機動仕様だ。
刹那はハッチを閉じてイグニッションスイッチを操作し、機体に火を入れた。
リサが自分の後ろをちらりと見てから笑う。
「なるべく聞こえないように言ってね。あなたはいいけど、私が気まずいわ」
艦長席の艦長はアームレストに頬杖をついて苛立った表情で舷窓の向こうを見ている。
漆黒の暗闇の下の白い地平線。
ただひたすら岩塊とクレーターしか見えない、岩石の荒野。
これから刹那が降り立つ敵の陣地。
「それじゃ、今回の任務を説明するわね。あなたは間もなく月面に降下、三日前に消息を絶った友軍機と、友軍機が見付けた敵基地への侵入口を捜索して」
「ああ、さっきも聞いた……それにしても、連中からも一機くらい付けてくれてイイと思わないか? 何があるか判りゃしねー。オレを使い捨てるつもりなのが見え見えだ」
「わかるけど……能力を信頼されていると考えた方が建設的だわ」
それに対して呆れた様子で溜め息を返す刹那にリサは微笑を返した。
「私は信頼してる。でも無理だけはしないでね」
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