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むかし、むかし。
森の高い木々に包まれた、不思議な国がございました。
そこは元々、理不尽な王様が取り仕切る厄介な国でした。
生前王様が、大層(たいそう)大事にしていた金魚鉢がございます。
その鉢は、王様のではなく、この国に来た旅人から盗んだものでした。
それはそれは、神と悪魔が宿(やど)るという摩訶不思議な金魚鉢で、見たいモノを映し、欲しいモノがあれば、鉢に手を入れて取ることができ、いらないモノを捨てたりと、他にもありとあらゆることが可能だという。
そして、ワガママな王様は、遥か遠くにあるハートの国から、自分の妃(きさき)になる姫を金魚鉢から誘拐して無理矢理、結婚をしました。
お妃が来てから数年、不思議な国は不思議なくらい安定し、国民の誰もがお妃を歓迎し、女王様と呼ぶようになっていました。
ワガママな王様とハートの女王の間に可愛い娘が生まれました。娘の名前を『アリス』と名付け、国民からも愛される姫となり、このまま【幸せの国】として国民に愛さるはずでした。
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