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「ねぇ、いつまでそこに居る気?」
少年はいくつかの部品を組み合わせながら言った。
「いつってさっき、来たばっかだけど?」
「君がいると集中できない」
「そっかな?」
「そうだ!! 目の前で、頬杖(ほうづえ)つかれたら仕事にならないだろ?」
「ガッくんのケチ」
「ケチな男は嫌われるぞ? なぁ、クリス」
「あのね、二人共いいかい。 僕は明日までにこの時計を直さなきゃならないの。 時間がないから邪魔しないでくれないか」
クリスは立ち上がり、テーブルで胡桃(くるみ)をカジッていたリスみたいな動物に手を差し出した。
「その時計って女王の使いが持ってたやつ? んなの直さなくったていいのに……。 ほら行くよ、ラビー」
「もう行くのか? クリス」
小さくなった胡桃を右の頬袋に詰め込んだラビーが答えた。
「うん。 ガッくんが遊んでくれないから」
クリスは、テーブルに置いたかばんを腰に括り付けた。
「なぁ、クリス」
「ん?」
クリスは、ガッくんの姿を見ずに答えた。
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