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それを割って入ってきたのが、ラビーだった。
「ガク……淋しがるなって。これでも食って元気だせって」
と言いながら右の頬袋に入っていた胡桃を取り出し、ガクにそれを差し出す。
「いらない」
「遠慮するなって。 お腹空いてるんだろ? これでも食って元気出しなよ」
呆れたガクは、ラビーにそれを頬袋に戻すように言った。
「会えないってどういう……」
と言いかけたクリスに、ガクは入口に掛けられた時計を見ながら言った。
「クリス。 行かなくていいの?」
クリスは、くるりと体を反転させて、壁に掛かった時計をみたら、時計の針は14時を指していた。
「やばい!! ラビー行くよ」
「やれやれ。 クリスまた遅刻かよ」
ラビーはヒラヒラと空中を滑るようにして飛んで、クリスの肩にしがみつく。
「んじゃあな、ガク」
ラビーは、尻尾を揺らしながらガクに挨拶をしてクリスと一緒に出て行った。
ひとり残された、ガクはテーブルの端っこをみて、ため息をついた。
誰がこれを片付けると思っているんだ? とつぶやき、細かく散らばった胡桃の殻を集めて、ゴミ箱に捨てた。
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