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「遅刻し過ぎると仕事もらえなくなっちゃうぜ、クリス」
「わかってるよ。 だから急いでるんでしょ!!」
毎回こんなやり取りをラビーとしている。
今回は、15時には、着いてなきゃいけない。 着かないと仕事がもらえない。
チェシャは、気分屋で毎回、仕事をくれる時間が変わる。
「遅刻したら、またごはん抜きかよ……」
ラビーは、膨れた右頬を触りながら言った。
「ラビーはいいじゃん、ごはんなくったて、それがあるから」
クリスは、人差し指でラビーの右頬を突いた。
「これは、チェシャとこ着いたら食べる分なの!! 腹が減っては……んちゃらかんちゃらって言うだろ」
「なに、それ」
「とにかく、仕事がないと食べていけない!!」
「ラビーは生きていけるよ。 木の実とか食べれるじゃん」
「木の実って。 この国の木は女王様の所有物なの。 勝手に食べたら『罪人(つみびと)』になっちゃうよ」
「いいんじゃない? オレ達はもう罪人じゃん?」
「もうって……2回目以降の『罪人』は……うぅ~考えるだけで震えがくるぜ」
ラビーは、全身をブルブルと震わせた。
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