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「ねー、大翔ちゃん。今日のオカズはお肉とお魚、どっちがいい?」
「ん?どっちでも」
「そー?じゃ、お魚ね。俺様大好きだもん」
「わかった」
今のヒト(?)も妖で、種族は化け猫、通称はサスケもしくはサスにゃん。猫の恨み辛み、怨念等の妖怪だが、無駄に明るく、猫のクセに世話焼きだった。ちなみに前世は真田十勇士、猿飛佐助。
ここに犬神ツインズと時々ではあるが、ほととぎす三武将(大翔が名付けた)を加えると今の大翔の家族になる。
「さて、そろそろ幸たちもくるか」
“幸たち”と聞いて毛を逆立てた梵天丸の襟首をつまみ上げ、リビングへと運ぶ。
「さすー!」
美味しそうな匂いの向こうに呼びかければ、
「なに、大翔ちゃん」
とすぐに返事が返ってきた。
「できたら呼んで」
「りょーかい」
梵天丸をソファに落とし、自室へと引っ込んだ大翔はノートパソコンを立ち上げた。
画面の隅で光るアイコンにカーソルを合わせる。
‡
「姉さんからだ」
添付ファイル付きのそのメールは実家暮らしの姉からのもので、内容は取り留めのない日々の出来事。
相変わらず、実家も妖が沢山いるらしく騒がしい毎日を送っているようだった。
添付されていたのは圧縮された動画ファイルで、大翔はヘッドフォンを装着して、再生する。
とたんに流れ込んでくる“家族”の騒がしいメッセージに小さく笑って、大翔は目を閉じた。
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大翔の小さな幸せは、晩ご飯ができたことをサスケが告げるまで続いた。
end
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