真道実

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そんな他愛もない話をしながら1年B組の教室に戻り、いつもの一角に座ると昼食を開始した。 俺たちは四人ともクラスが一緒なので、飯を食うのはたいてい一緒だ。 「ところで実、なんか元気なくね? 何かあったか?」 中学のころからの付き合いだが、将語は無神経そうに見えて、実際はその逆。 気が付くっていうか人のことをよく見てんだよな。 俺は弁当の包みの横にデザート用のメロンパンを置きながら舌を巻いた。 学も箸を止めた。 「四時間目は実と語は地学だったな……。大木教授に何か言われたか」 地学の大木先生は嫌味で知られているし、運動部嫌いも同じくらい知られている。 頭の良い学じゃなくても何があったか推測するのに時間はかからなかっただろう。 俺は普段よりさらに鋭い学の視線から逃れるようにウインナーに箸を刺した。 「やっぱウインナーはレンジでチンだよな! ヘルシーだし……」 「断固異論を唱えるね~。焼かないウインナーはただのウインナーさ~……」 「ちょっと何言っているかわからん。実、話を逸らすな」
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