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学の鋭い指摘に語は丸い顔をしかめた。
何か思い出したようだ。
「あぁ~そういえば……」
俺は語が何か言う前に急いで割り込んだ。
「いや、なんもないけど。いつも通りだぜ?」
「?」
語は一瞬怪訝そうな顔をしたが、何も言わなかった。
俺は少しほっとした。
何かを察したような将語が明るい声を出した。
「ま、なんかあったら俺らに言えよ! 愚痴ならいつでも聞くから」
「ああ、わかってる」
語も将語も学もみんないいやつだ。だからこそ言わない。
しばらく無言で弁当を食べた。うん、なんか気まずい。とりあえず話を振ってみた。
「なぁ将語、なんか面白い話ねぇの?」
ムチャ振りである。
「ああ、そう言えば……」
目を光らせて即座に対応する将語はただ者じゃないと思う。
「アメリカの大統領が遂に経済改革を実行するらしい!どう思う!?」
しかし話し出したのは将語ではなく学だった。
こいつは政治や経済とかそういう方面になると病的に熱がこもる。
将語曰く、学ファンクラブの女の子からしたら、
『普段がクールなだけにたまに見せる熱さがまた……キャッ!』
って感じらしい。
俺らからみたら学は社会科オタク、いやもはや変態だけどな。
熱意がありすぎて授業態度に問題ありなんて言われてるやつ初めて見たもの。
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