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「どう思うって言われても……なあ」
俺は将語に目配せをした。
話を切り替えてくれ。
将語は素早く俺の意図を汲んで話題を投げた。
「うん、わからん。それより新田さんがさぁ……」
ナイス。
これで学も熱がおさま……らなかった。
「そうなんだ。ミサイルなどの開発費、軍事研究費の一部を削って貧困国の支援に充てる、という大胆な政策を打ち出したんだ! これには国内外から非難轟々さ! 自国の国防を放棄して喜捨してる場合かって! これに対する返答がまたイカしててな……」
「俺達誰も相づちうってないぞ、学!」
将語のツッコミもむなしく響く。
「 合衆国独立以来最悪の大統領とか愛の使者とか賛否両論飛び交っているが、僕個人としては明確な数値として結果を出していることからも……」
こうなった学は止まらない。もう学の相手は5コ目のパンに手をつけた語に任せることにした。
「へぇ~そうなんだ~。僕の食費も支援してくれないかなぁ~」
語はピントがずれた相づちをうっているが、学はあれでいいんだ。
聞いてるか聞いてないかは問題ではないのだから。
そして俺はさっきから気になっていたことを問うことにした。
「ところで将語、あー……新田さんがどうかしたのか?」
「ああ、さっき聞いちゃったんだけどさ、新田さん、電車ん中で変なおっさんに絡まれたらしいぜ」
俺は弁当のふたを閉め損ねた。
「なにぃぃ!」
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