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―5月10日 PM15:46―
帰宅途中。
その日、結局新田さんには話しかけられず、自分のヘタレ加減にため息を連発中。
電車通学の学と将語とは駅の近くで分かれ、歩きの俺と語は一緒に帰っていた。
ちなみに俺んちと語んちはお互い結構近くにあり子供の頃から一緒に遊んでいる。
野球もこいつに誘われて始めたしな。幼なじみってやつだ。
「実~?」
「ん?」
語に話しかけられた時、俺はちょうど小石を蹴るのに熱中していたので上の空だった。
「どうして今日、大木先生とのこと言わなかったの?」
「どうしてって……」
おもわず俺は口ごもってしまった。
「実さぁ、学や将語とどっかで距離おいてるって言うか……今日だって話せば良かったじゃん。……最近は僕ともあまり話さなくなっただろ?」
俺は小石を蹴るのをやめた。
「そんなことないって! わざわざ話すまでもないと思っただけだよ」
無理に笑ってみせる。
「本当? 悩みとかあるんじゃ……」
語は真剣だ。
「ないって。大丈夫だよ!」
そう。大丈夫。だから……。
「そっか、ならいいんだ~。実って冷めてるとこあるから」
なぜかドキッとした。
「冷めてるって何に?」
語は少し考えた後に言った。
「人生に?」
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